紋章が語るヨーロッパ史浜本 隆志
白水社 刊
図版豊富、紋章から旗まで
紋章について、とくに紋章学だけでなく、ヨーロッパ社会をあらわすものとして、シンボル表象の面からもみた新書。モノクロではあるが図版が非常に多く、視覚的にも理解できる。
紋章の起源と歴史、紋章の変遷、紋章のきまり、図案、図柄のイメージ史(紋章によくあるワシ、ライオン、バラなどについて)など紋章そのものに関することがらを前半では詳しく紹介している。
後半では、絶対王政の権威、中世ギルドの連帯など、紋章のもつパワーや、社会での扱われ方・影響をみる。そういった権威や仲間意識だけでなく、社会の底辺にいる者や被差別住民の目印となった黄色や縞々の服など、ネガティブな意味でのシンボルについても書いてあり、紋章のみならず、広くイメージ、シンボルについて扱っている。旗についても同様である。
ミシェル・パストゥローは『紋章の歴史』で、紋章は貴族のものと思われがちだけれど、まったくそうではなくて・・・というスタンスをとっているが、本書は、紋章のもつ権威とその失墜に重点を置いている。
絵を楽しく見ながら紋章や旗のシンボル、権威、連帯感などについて考えられる手頃な本。
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